勝秀鍛冶屋見習いと、その嫁

高知県四万十町で鍛冶屋の見習いになった。嫁は狩猟や炭焼きを始めた。

超一流と一緒だ!

こんばんは「その嫁」です

「鍛冶屋見習い」が工房を建ててから鍛冶屋を始めて(見習い中)まだ1年も

経ってはいませんが

「お~い!ゆう~居るか?!」と、

師匠も毎日工房に来ています。

 

お客さんもポツポツ来てくれています。

道具も揃って

カンカン打ち始めて

鍛冶屋らしくなってきた今日この頃、


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刃物を作る行程の1つに

【焼鈍:やきなまし】

というものがあります。

これは【焼き入れ】の前に行います。

「鍛冶屋見習い」がやっている

【焼鈍:やきなまし】の方法が

実は!

なんと!

 

今日気が付いたのですが

超一流の「玄翁(げんのう)」鍛冶屋と

一緒のやり方でした!

おースゲー(゜Д゜)

やるじゃないか。

と「その嫁」が言っても

鍛冶屋の事がわからなければ

は?は?(゜-゜)??

となりますよね。

 

では、

ちょっと鍛冶屋の説明をします。

勝秀鍛冶屋では、

四角い鉄を熱して真っ赤にしたら

叩いて形を作ります

コレを【火造り】といいます。


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刃物の形にはなっていますが

 

分子レベルで考えると

鉄の分子がハンマーでガンガン叩かれて

とっ散らかっている状態です。

コレでは刃物になりません。

刃物の形をしたただの鉄です。

全く刃物として強度はありません。

鉄分子がバラバラだからね。

 

とっ散らかった鉄分子を整列させる行程が【焼鈍:やきなまし】です。

この時は叩きません

また赤く焼いてから

冷ますのです。

この冷ます方法が!

超一流の玄翁鍛冶と

一緒だったのですよーーー!

 

冷ますと言ってもイメージしている

ジュッ!!!と水に浸ける

冷まし方ではありません。

急激に冷ますと、とっ散らかった鉄分子は

キチンと整列してくれません。

とっ散らかったままです。

ポイントは

ゆ~っくり冷ますのです。

高温の鉄を一定の温度をキープしながら

何時間もかけて冷ましていきます。

そうすると、鉄分子は整列してくれます。

 

どうやって冷ますのか?

師匠のところでは炉の中に置いといて

冷ます方法でした。

師匠の所は炉の壁が厚いから、冷めにくくて温度をキープできます。

しかし、

「鍛冶屋見習い」の炉の壁…

うっす!!


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だから炉の中では冷ませない。

さぁ、考えた。

我が家にある物は…

他の鍛冶屋は藁の灰でやっているケド

…(=_=;)

ダメだ、オラんち田んぼねぇ

畑もねぇ

木の灰?とんでもねぇ木どころか

そもそも土地がねぇ山がねぇ

温度管理?温度計?

バカ言え?!設備がねぇ、予算がねぇ!

オラん家、なんもねぇ

あるのは昔の水銀体温計?!

オラこんな鍛冶屋イヤだぁ~♪

オラこんな…♪

 

((((゜д゜))))!!アレェ?!

あったでばぁ!

松炭!!!松炭の粉!屑!


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焼き鈍しをした刃物を突っ込むのです。
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そしたら

超一流の玄翁鍛冶も同じ!

松炭の屑使ってら!

 

と、

長ーーい話でしたけど

超一流の人と焼き鈍しの方法が

一緒で嬉しかったってだけ。

…う~ん、したけど「鍛冶屋見習い」よ、

オメェ超一流玄翁鍛冶屋さんの所に何日か行ったことあるべよ?

なして気が付かなかったのよ?

と聞いたら、

「俺その時は何も分かんねーもん、気が付くワケね~よ!」だそうです。

 

ふーん、そうですか。

「その嫁」の頭の中は

マイタケでいっぱい!

キノコ博士が送ってくれた貴重な

天然マイタケに狂喜乱舞しておりました。


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雪国バンザイ。

コッチにはマイタケねぇもの

 

あ、忘れでったじゃぁ。

余談の更に余談です。

何年も前に、毎年

越後国のSwallow3条で行われる

金物や刃物作りフェスティバルがあって

超一流玄翁鍛冶屋さんに呼ばれて

「鍛冶屋見習い」が手伝いに行ったことがありました。

その時に玄翁鍛冶屋さんが

ちゃちゃっと作った鉈があります。

仕事道具と一緒に置いていますが…(^_^;)
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鞘と柄は「鍛冶屋見習い」が作りました。f:id:kajiya40010:20201019112057j:image

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全面に鋼がついてある物です
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「その嫁」がその鉈の価値を知ってか知らずか…ガシガシ!ガンガン!使っていて

勿体ないので

「鍛冶屋見習い」はしまって置くそうです。

「すんげー!価値があるんだからな!桁が違うんだぞ!」

「もうコレは使わない!」

だそうです。

 

 

 

おしまい

 

勝秀鍛冶屋(見習い)

菊池祐

〒7860-504

高知県高岡郡四万十町十川1106-3

☎080-6554-0980